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Channel: 毎日が夏休み
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本家のトイレ

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ついつい本を読んでいてパソコンに向かう時間が遅くなってしまいました。

で、その本(三四郎はそれから門を出た/三浦しをん)の中にトイレの話が載っていて、

「思えば昔のトイレは寒かった」から始まるのですが、

この出だしの一文で、過去から現在に至るまでの私と過ごしたトイレがアタマの中でよみがえってきた(笑)。

父の仕事の都合上、何度も何度も転勤を繰り返したので、

過ごしたトイレの数も引っ越しの数だけさまざま、

一番古いトイレの記憶はというと、岩見沢の公務員宿舎のトイレ。

和式のぽっちゃんタイプ。何度スリッパを犠牲にしたことか。

ここのトイレは日によって怖かった。

普段はなんともないのに、映画館で怪獣映画を観に連れて行ってもらったその夜は恐怖のかたまりで、

なぜか手前の壁についている小窓、ここからゴジラがギャオスのあの目で睨んでいるように見えてしまう。

あるいはあるときは、

背後にはあまり遊んであげていないお人形が列になってトイレのドアの隙間から行進してくるようで、

いまでもここの個室の情景はしっかり思いだせる次第であります。

 

次のトイレは函館の官舎、きっとかなり新しい建物だったと思うけど、

ここでなんと水洗トイレ(和式タイプ)となり、

でも4年間お世話になったわりに印象は薄く、

同じ官舎の別棟のお友達のうちで初体験した洋式タイプの水洗トイレを強烈に覚えています。

詳細は恥ずかしくて書けません。

ただしこれだけは書き記しておきますが、私は乗ったりしなかったのだよ。

神業的使用方法でパンツ破けました(笑)。

 

次に引っ越した先では和式のぽっとんタイプ。

ただしここのトイレのすごいところは、元進駐軍住宅だったのでわりと広い家で、

なんとトイレに行くのに専用の長い廊下がついていた。

 

以後転居先のトイレはこれといった特徴もない普通のトイレだったのですが、

私の住んだ家のトイレではなく、父の実家、通称「本家」のトイレはこれが凄かった。

今まで私が経験してきたのがトイレなら、

本家のトイレは「便所」というほうがぴったりかと。

今はもうありませんが、まだ私が子供のころ、何度か泊まりに行ったことがあり、

古い木造の、昔の大きな大きな家で、幸いトイレは離れではなかったのですが、

引き戸、床は木、無駄に広く、電気は裸電球、そして、便器が白い陶器ではなく、木の板で、

つまり、一段高くなっているのではなくフラットな面に、

床板の一部が抜けていて、木の、あれは金隠し(なんて懐かしい言葉だ)のような板、そして穴。

それこそ下から冷たい風というか空気というか、

よせばいいのに、どうしても目がぽっかりあいた空洞とその先を追ってしまい、

落ちたら死ぬんでないか、私がここで落ちても誰も気がつかないんじゃないかと、

必死に落ちぬよう子どもながらに頑張っていた。

裸電球が揺れると、影がぐわら~っとゆがんで怖いってもんじゃない。

それはそれは怖いトイレだったのでした。

岩見沢のトイレと、廊下のトイレと、本家のトイレは見取り図書けといわれたら書けると思います。

お、もうこんな時間だ。

トイレ行って寝よう。家のトイレは怖くないです、全然(笑)。


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